随談第637回 本年最後の不要不急の話

あっという間の歳末である。齢のせいだけでなく、時の経ち方が今年は何かイレギュラーに感じられる。原因はもちろん、コロナ騒動のためである。去年の今頃、歌舞伎界では何が話題だったかといえば、菊之助が『ナウシカ』をやっていて、舞台上で大けがをしたという一件だった。これを遠い昔のことのように思うか、それとも、ついこの間のことと思うか、人さまざまに違いない。いや、同じ人間が、遠い過去のように思えたり、最近のことのように思えたりするのだ。... 続きを読む

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随談第636回 坂田藤十郎をめぐる不要不急の話

坂田藤十郎が亡くなった。昭和6年の大晦日の生まれということは前々から知っていたが、いつの間にか現役最年長となっていたことには今度改めて思い至った。芝翫・富十郎といった、昭和ひと桁でも5年より前の生まれの世代は、この二人の大物がちょうど歌舞伎座の建替えの間に相次いで逝ったのを最後にいなくなっていた。この世代は、戦後間もなくのまだ世の中が定まらない時期に世に出た人達で、歌舞伎界に限らず、映画界などでも取り分け女優にはこれといったスターは見当たらない。個々には懐かしい存在もあるのだが、「個性派」だの「清純派」などと体よくひとからげにされてしまいがちで、何かと損の卦があるように見える。(同じ昭和ひと桁でも6年以降だと、山本富士子だ有馬稲子だ岸恵子だと続々出てくる。登場するのが、やはり独立回復後の社会の安定というところが大きいのだろう。)... 続きを読む

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随談第635回 簡略版御免

月末に至って小忙しいことが重なったので、今回はごく簡略版(簡潔版?)とさせていただくことにしたい。... 続きを読む

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随談第634回 人間万事マスクの世の中

バスに乗り合わせた50年配のおばさん風の女性が花柄のワンピースと共布のマスクをしていたり、マスク風俗も堂に入ってきた感のある一方、ノーマスクの乗客が騒いだために飛行機が緊急着陸をするというニュースがあったり、地下鉄の中でノーマスクに入墨の強面のオッサンが辺りを睥睨しながらエヘンエヘンオッホンとやっていたりする。この手の反抗族が現れるのも、マスク風靡が時代風俗として定着しつつある逆証明のようにも見える。... 続きを読む

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随談第633回 歌舞伎再開

歌舞伎座が再開場した。先ずはその実地報告から始めよう。全席約1800席を823席に削減、前後左右が空席になる、千鳥模様に綾掛けをした形だから、前の席の人の頭を気にする必要がないのが一得という、何ごとにも思わぬ余得はあるものだ。この8月は国立劇場も稚魚の会・歌舞伎会の合同公演が5日間、音の会が二日間、どちらも小劇場ながら開場したから、足並みが揃ったことになる。「曲がりなりにも」という言葉はこういう場合に使うのが最適、と中高生の現代国語教育の用例になり得るかもしれない。... 続きを読む

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随談第632回 またも不要不急の話ばかり 図夢歌舞伎

図夢歌舞伎なるものが始まった。トム歌舞伎ではない。夢を図るズーム歌舞伎だそうな。(高名な映画監督で内田吐夢という方があったが、あれは「夢を吐く」のでトムだった。)6月末から7月へ掛け、毎週土曜11時から5回連続で『忠臣蔵』を有料配信するというものだが、このほかにも、各優各自でさまざまな企画が行われつつあるらしい。これも誰ゆえコロナ故にかかる事態となり、日ごろスマホを片手に、当世流のさまざまなメカニズムを苦とも思わず駆使する現代歌舞伎の若く意欲ある諸優がこうした挙に出るのも当然というものだろう。... 続きを読む

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随談第631回 またも不要不急の話ばかり

東京アラートだの緊急事態宣言だのが解除になったといっても、歌舞伎はまだ解除の対象の内に入れてもらえていない。歌舞伎が、と名指しされたわけではないが、大ぜい人を集めるイベントは千人までしかOKにならないというのだから、考慮の外ということなのだろう。まあ元々、不要不急の見世物の親玉みたいに扱われてきた「過去」があるのが、時移り栄誉のおこぼれに預かるようになった今日といえども、このほどのように一旦緩急ある事態となると、あんたのことなど構っている暇はねえ、ということになるわけだろう。「不要不急で400年」というキャッチコピーは、歌舞伎にとっての勲章であるとも言える。... 続きを読む

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随談第630回 不要不急の話ばかり

まず前回分の訂正から。訃報のところで、小林旭氏を亡くなったように書いてしまった。新聞の青山京子さん死去の記事に喪主は夫の小林旭氏とあったところから、ああ、めでたく添い遂げたんだと知ったうれしい思いが、時の経つうちに、梅宮辰夫氏死去の報などとも絡み合い、反転して錯覚を生じた結果、旭氏にはまことに失礼なことをしてしまった。氏はもちろん健在である。深くお詫びの上、謹んで訂正させていただく次第、これは今回のタイトルの不要不急の話とは別とご理解いただければ幸いである。... 続きを読む

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