随談第635回 簡略版御免

月末に至って小忙しいことが重なったので、今回はごく簡略版(簡潔版?)とさせていただくことにしたい。

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国立劇場の歌舞伎は毎年10月が新年度スタートのようなものだから、今月の大歌舞伎は理屈から言えば「再開」というわけではないが、まあ、コロナ騒動以後初という意味で、再開のような気分だ。古典一本に小品がついて一部二演目で二部制、幕間があるわけだがそういうことができるのも、あの広いロビーがあればこそだろう。国立ならではの一得か。

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昨今の世の中の空気が何やらゆるんできている中で、歌舞伎座の一部一演目というやり方についていろいろな声を聞くが、世の中がゆるんできたのは政治的判断やら一般のコロナ疲れやら、人間の側の事情や都合によるもので、コロナそのものの客観情勢はじつは何も変わっているわけではない以上、固くこの方式を守り続けているのもまた、一見識というものだろう。正解は神ならぬ身の誰にもわからない。

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先月の『双蝶々・角力場』で濡髪・放駒の一番が終わった後、木戸口から一人も観客が出てこなかったのは、あの場所は無観客の興行だったに相違ない。察するに原因はコロリの流行か?

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コロナに対するスタンスは国立劇場の方が歌舞伎座よりもゆるい。新国立は更にゆるい。これは如何なる儀にや、事のついでに問い申さむ、か?

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百年前のスペイン風邪は、最も猛威を振るったのは秋からの第二波であったそうな。島村抱月が感染して死んだのは11月、松井須磨子の後追い自殺は明けて正月早々のことだった。

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縁起でもない話をしてしまった。くわばらくわばら。(と言って、イマドキの方々にもおわかりいただけるだろうか?) 

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というわけでもないが、今回はこれでおしまいにさせていただきます。次回以降、またご愛読願えれば感謝します

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