随談第5回 私家版 問題な日本語 「は?」の巻

何かを言われる、あるいは命じられるか頼まれるかして、「は?」と問い返す。若い世代に始まって、近頃はかなり年配の女性にも聞くようになった。不満、不同意、ノーの婉曲表現、おとぼけ等等等。

「はア?」と半拍ほど長くなると、その分「不」の意思が露骨になる。つまりノーの直接表現に限りなく近くなる。

せいぜいここ十年か、よく耳にするようになったのは。二十年とはさかのぼらないだろう。

かつても「は?」はあった。多くは男性、上司に対して「は?」と問い返す。返答を考えるための時間稼ぎ。ときには本当に聞きなおすため。いずれにしても、うやうやしい態度であることに変わりはない。

つまり文字で書けば同じだが、昔からの「は?」と、近年になってはびこりだした「は?」とは別物と考えるべきである。にもかかわらず、昔ながらの「は?」と同じ表現を採用している。おそらくそのふたつの「は?」の間に、どこかで連動しつつ、ここ十年かそこらの間に生じ、あっという間に広まってしまった意識の変動があるに違いない。

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