随談第77回 歳末偶談(その4)

若手花形プロ野球受賞者見立てのつづき。

勘太郎の首位打者に対し七之助は開幕戦の『鏡獅子』、最終戦で勘太郎と踊った『猩々』から『三社祭』がすばらしかった。『盲目物語』の茶々、『重の井』の腰元若菜もよかったが、総合成績として見ると、相応の好成績だがタイトルとして何がいいだろう? 最多出塁率を染五郎と争って第二位か。映画『真夜中の野次さん喜多さん』(だっけ?)は私にはようわからん。春先にあった場外でのニュースはだれよりも本人がよく自覚している筈だから、この際不問。

さてその最多出塁率は染五郎。父幸四郎と『魚屋宗五郎』の三吉をやり、文七をやり『連獅子』を踊り、直侍をやり、そうそう梨園座もあったっけ。叔父吉右衛門とも金比羅歌舞伎から凱旋公演でも『日向嶋景清』に出演、勘三郎襲名にも出演して『野田版研辰』でよき存在感を示した。小山内薫の『息子』なんていう味な芝居でも味なところを見せた。映画でも賞をもらった。いうことないほどの活躍ぶりだし意欲も充分だが、今年はこれでいいとしてさてそろそろ、古典の丸本物で快打を放つ姿を見たい。実盛、石切梶原など如何?つまり来年は打点王のタイトルを狙いたい。

その打点王だが、いまどき数字的に100打点に達しない打点王というのはちょっと物足りないのだが、最後に團十郎に代わって四番打者として光秀で打点を稼いだ実績で橋之助。余勢を駆っての『弁慶上使』も現在での力を示した。まずはおめでとう、さりながら・・・と続くのは、なんであんな苦しそうな声を出すのですか? 染五郎もそうだが、勘三郎・三津五郎に続く世代の旗手としてあなたが本格派として古典をきっちりやってくれなければ歌舞伎はどうなっちゃうんだ? と思うからだ。

最優秀中継ぎに『御所五郎蔵』の逢州を好演した松也。『児雷也』の当世コギャルも観察眼には感心した。お父さんの松助を亡くしての激励の意味も籠めての受賞。六月の歌舞伎教室で解説役と『毛抜』の秦民部で殊勲を挙げた亀三郎と二人受賞としよう。

新人王に岡村研佑改め尾上右近と『鳥羽恋塚』の以仁王で好演した梅枝。鷹之資クンはデビューを飾ったところだから、受賞云々はまだもうしばらく先の話。

猿之助一門の人たちをどうしようと考えている内にスペースが尽きてしまった。笑三郎・春猿の七月歌舞伎教室の解説は、大相撲だったら技能賞間違いなし。『桜姫』での扇雀の長浦とか『河庄』で小春を代役した翫雀も健闘したようだし、まとめてセーヴポイント賞としよう。

と、四月に開設したこのホームページもおかげさまで正味九カ月でクリック数9000を越えたところで越年となった。来年も基本的にはこの形式で続けるつもりだが、別枠として企画物も始めたいと考えている。なにはともあれ、読んでくださる皆様があってのこと、一層のご愛顧をお願いしつつ御礼申し上げます。どうぞよいお年をお迎えください。

(訂正・前回海老蔵の項、実盛でなく毛谷村六助でした。)

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